← ニュース一覧に戻る

2026年5月2日

リテールメディア6000億円市場でパーソナライゼーションが主流に

#リテールメディア#パーソナライゼーション#生成AI#ロイヤルティプログラム#CRM

リテールメディア市場が6000億円超に急拡大

国内のリテールメディア市場が急激な成長を続けている。今年の市場規模は6000億円を超える見込みで、特に注目すべきは実店舗でのデジタルサイネージ広告の急拡大だ。全体市場の約30%をインストア広告が占めるようになり、リテール企業にとって物販に次ぐ重要な収益源として確立されつつある。

マツキヨココカラでは、1.4億人を超えるグループ接点のデータを活用した「パーソナライズ広告」による収益が、物販に次ぐ第2の利益の柱として成長している。これまでドラッグストアの販促は経験やチラシに頼る手法が主流だったが、会員アプリの普及により、購買履歴や来店頻度に合わせたクーポンやおすすめ商品の出し分けが可能になった。

生成AIで実現する超細分化パーソナライゼーション

今年最も注目される技術革新が、生成AIによる広告クリエイティブの自動生成とパーソナライゼーションの本格普及だ。イオンでは、バナーのパーソナライズにより230万通りの出し分けを実現し、クーポンの1to1配信では700万通りのレコメンドが可能になったことを発表している。

ファミリーマートでは、全店展開を完了した「FamilyMartVision」により、ファミペイアプリとの連動で来店検知と同時にアプリと店頭サイネージが個人化広告を同時配信する「クロスチャネル同時配信」を実現。これにより、顧客一人ひとりに最適化されたタイミングで最適なメッセージを届けることが可能になった。

ロイヤルティプログラムは体験価値重視へ転換

ロイヤルティプログラムの在り方にも大きな変化が見られる。セブン&アイでは、グループ横断型プログラムにより異なる業態の組み合わせから得られる示唆を活用し、ライフステージに寄り添った提案を実現している。セブン‐イレブンでの購入店舗の変化から顧客の転居を察知し、最寄りの百貨店やスーパーを案内するといった高度な顧客理解に基づくサービスも登場している。

一方で米国の調査では、ロイヤルティプログラムの参加者数は増加しているものの、プログラムへの関与度は約10%低下し、ブランドへの忠誠度が20%減少していることが明らかになっている。「ポイントが貯まる」だけでは選ばれる理由にならず、より体験価値を重視したプログラム設計が求められている。

AIネイティブストアの登場と今後の展望

小売業界全体では、「AIネイティブストア」という新しいコンセプトも注目を集めている。店舗のリアルタイム情報をカメラやセンサーで収集し、AIが分析して最適な施策を提案するサービスで、ウォルマートなど海外大手小売業との取り組みも進んでいる。

イオンリテールでは、4年間でAI導入により生産性20%向上を達成し、魅力的な売場作りと接客業務に作業配分をシフトすることができたと報告している。

これらの動向は、ID-POSデータとAIを活用したマーケティングソリューションの重要性が一層高まっていることを示している。データの収集から分析、個別最適化された施策実行まで、一気通貫したソリューションが小売企業の競争力を大きく左右する時代に入ったと言えるだろう。