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2026年5月26日

CRM市場9203億円突破:体験価値重視の新戦略

#CRM#ロイヤルティプログラム#パーソナライゼーション#AI#リテールマーケティング

CRM市場の急激な拡大と構造変化

国内CRM市場が今年、9203億円という驚異的な規模に達している。ミック経済研究所の調査によると、この成長は単なる市場拡大ではなく、顧客関係管理の根本的な変革を伴っている。

特に注目すべきは、パーソナライゼーションの概念が「点」から「線」、そして生活全体を捉える「面」へと進化している点だ。マクロミルの最新トレンド予測では、今年のパーソナライズコミュニケーションは顧客の生活様式全体を理解し、より包括的な体験を提供する方向へ移行していると報告されている。

この変化の背景には、AI・機械学習技術の急速な普及がある。Vtiger Systemsの分析によれば、今年のCRM成長の最も顕著な特徴は、予測分析、リアルタイムパーソナライゼーション、インテリジェント自動化の統合にあるという。

AI活用CRMの実践的成果

実際の企業事例を見ると、AI-CRM戦略の効果が明確に現れている。ローソンは創業50周年の節目に人工知能を活用した効率的な商品発注システムを導入し、コスト削減と同時に売上高・純利益の過去最高を達成した。

三越伊勢丹の事例も示唆に富む。同社がオンラインギフトサイト「MOO:D MARK」を開設した翌年と直近を比較すると、会員数が約3倍、レコメンデーションによる売上も3.2倍に増加している。これは、単純な商品推薦を超えた、顧客理解に基づく体験設計の成果と言える。

ロイヤルティプログラムのパラダイムシフト

従来型のポイント制度に対する見直しが加速している。米国の動向を見ると、ロイヤリティプログラムの参加者数は増加しているものの、プログラムへの関与度は約10%低下し、ブランドへの忠誠度が20%減少している。「ポイントが貯まる」だけでは選ばれる理由にならなくなっているのが現状だ。

代わりに注目されているのが「ソフトベネフィット」、つまり体験価値を重視したアプローチである。プリズマティクスの調査では、ここ1〜2年でロイヤルティプログラムの見直しを進める企業が増えており、深い結びつきが醸成できるプログラム設計が重要性を増していると指摘されている。

ドラッグストア業界では、この傾向が特に顕著だ。ウエルシアは調剤併設率を80%まで高め、ツルハも調剤売上高1400億円を目標とするなど、単純な小売りを超えた包括的な顧客サービスによる囲い込み戦略を展開している。

実店舗でのパーソナライゼーション実現

今年の大きなトレンドの一つが、ECサイトで当たり前になった「一人ひとりに合わせた商品推薦」を実店舗で実現する取り組みだ。リアル店舗における個別最適化は技術的に困難とされてきたが、ID-POSデータとAI技術の組み合わせにより、実用的なレベルに達している。

この領域では、顧客の購買履歴、行動パターン、嗜好性を総合的に分析し、店舗での買い物体験そのものをパーソナライズする技術が求められている。マギーが提供するPowerIDのような統合的な顧客分析ソリューションや、i-codeのような店舗内行動分析技術は、こうした実店舗パーソナライゼーションの基盤技術として注目されている。

今年の市場動向を総合すると、リテール業界は従来の商品中心の思考から、顧客体験全体を設計する方向へと大きく舵を切っている。この変化に対応するためには、単なる技術導入ではなく、顧客との関係性そのものを再定義する戦略的な取り組みが不可欠となっている。