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2026年6月21日

需要予測AI、実証から全店導入へ加速

#食品ロス削減#需要予測AI#リテールDX#自動発注

実証実験から全店展開へ―フェーズが変わった2026年

食品ロス削減を目的とした需要予測AIの活用は、この一年で大きな転換点を迎えています。これまで一部店舗での実証実験にとどまっていた取り組みが、複数店舗・複数チェーンでの本格運用へと移行しているのが現在の特徴です。

福岡を拠点とするトライアルカンパニーは、スーパーセンター全店と都市型店舗の一部を含む264店舗を対象に、AIとデジタルツインを組み合わせた自動発注システムを稼働させています。対象商品はグロサリーや菓子、日配品など約2万8000SKUに及び、1店舗あたり月間180人時相当の作業時間削減と、約30%の過剰在庫抑制が見込まれています。発注業務の自動化が、人手不足対策とロス削減を同時に実現する手段として注目を集めている好例です。

熊本のスーパーマーケット、ロッキースーパーストアでは、精肉部門を対象に需要予測とダイナミックプライシングを組み合わせた実証実験を重ねてきました。POSデータをもとに販売価格をリアルタイムで調整する仕組みは、廃棄ロスの削減だけでなく利益率の改善にもつながる手法として、他業態への応用が期待されています。

コンビニ大手が示す具体的な削減効果

全国展開するコンビニチェーンでは、すでに数値として明確な成果が表れています。ローソンは全国約1万4000店舗でセミオート発注システムを運用し、販売実績データに基づく精緻な需要予測により、発注業務にかかる時間を44分短縮、1店舗当たりの廃棄高を前年比で1割削減することに成功しています。

セブン-イレブンでも、天気予報やイベント情報を組み合わせた需要予測モデルにより、約2万店舗を支えるAIインフラを構築し、廃棄ロスを23%削減する実績を上げています。発注最適化と労働時間の最適化を同時に進める姿勢は、店舗運営の効率化と食品ロス対策が不可分の課題であることを示しています。

生協系でも動きが広がっており、コープデリグループでは全143店舗を対象にした需要予測の精度検証が始まりました。今後は一部エリアでの自動発注テスト導入を経て、来年には全店舗での本格運用が計画されており、業態を問わずAI活用が浸透しつつある様子がうかがえます。

食品ロス削減が「標準装備」になる時代へ

業界全体を俯瞰すると、食品・飲料分野のAI市場規模は193億8000万米ドルに達し、前年比42.8%という高い成長率を記録しています。従来の「勘と経験」に依存した発注業務からの脱却は、もはや先進的な取り組みではなく、業界標準になりつつあると言えるでしょう。

この背景には、農林水産省が掲げる2030年度の食品ロス削減目標(事業系を2000年度比60%削減、家庭系を半減)という政策的な後押しもあります。直近の調査では日本の食品ロスは年間約464万トンに上り、需要と供給のミスマッチがその主因とされています。需要予測AIは、こうした構造的な課題に対する現実的な解決策として、今後さらに存在感を増していくと考えられます。

マギーが提供するPALやPowerID、i-codeといったID-POSデータ活用ソリューションも、こうした需要予測の精度向上や発注最適化の基盤として、小売業のロス削減の取り組みを支える役割を担っています。データに基づく意思決定が、店舗運営のあらゆる場面で当たり前になる時代が、すでに始まっています。