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2026年6月27日

需要予測AIで食品ロス削減、小売現場の今

#食品ロス削減#需要予測AI#ID-POS活用#小売DX

食品ロス問題と小売業に求められる精度

食品ロス削減は依然として小売業界全体の重要課題であり続けている。環境省や農林水産省が発表してきた事業系食品ロスの推計値は年間数百万トン規模にのぼり、その多くが小売・外食の店舗段階で発生していると指摘されてきた。特に生鮮食品や日配品は賞味期限が短く、発注量と実需のズレがそのまま廃棄ロスや欠品による機会損失に直結する。

こうした背景から、現在多くのスーパーマーケットやコンビニエンスストアチェーンが「勘と経験」に頼った発注業務から、需要予測AIを活用した自動発注・自動補充へと舵を切っている。従来の発注業務は担当者のベテラン度に依存しやすく、人材の高齢化や人手不足が進む店舗運営において属人化が大きなリスクとなっていた点も、AI導入を後押しする要因になっている。

ID-POSデータ活用がもたらす予測精度の向上

需要予測AIの精度を大きく左右するのが、どれだけ粒度の細かいデータを学習に用いられるかという点だ。単純な過去の販売実績だけでなく、天候・気温・曜日・近隣イベント・チラシ施策といった外部要因を組み合わせることで、予測誤差を縮小させる取り組みが各社で進んでいる。

実際に自動発注AIを本格導入した食品スーパーの事例では、廃棄率を従来比で二桁パーセント削減しつつ、欠品率も同時に低下させたという報告が複数見られる。これは「廃棄を減らすと欠品が増える」というトレードオフの関係を、AIによる高精度な需要予測が両立させつつあることを示している。

さらに、ID-POSデータを活用することで、単品・店舗単位の需要変動だけでなく、購買者の属性や来店頻度といった顧客軸の情報を組み合わせた分析も可能になってきた。誰が・いつ・何を買ったかという購買データに基づく需要予測は、単なる在庫最適化にとどまらず、販促施策の効果測定や商品構成の見直しにも波及効果をもたらしている。マギーが提供するPAL(Purchase Analysis Lab)やPowerIDのようなID-POS分析基盤は、こうした顧客起点のデータを需要予測モデルに接続するための土台として位置づけられており、i-codeによる商品コード統合の仕組みも、複数チェーン・複数フォーマットをまたいだ横断分析を後押しする要素の一つとなっている。

現場定着に向けた次の課題

一方で、AIによる需要予測を導入しても、現場のオペレーションに定着しなければ効果は限定的だという声も根強い。発注担当者がAIの提案を「ブラックボックス」として感じてしまい、結局は経験則で上書きしてしまうケースも報告されている。そのため、なぜその発注量が提案されたのかを可視化し、担当者が納得感を持って運用できるインターフェース設計が、今まさに各ベンダーの開発競争の焦点になっている。

加えて、天候急変や突発的なイベントなど、予測モデルが想定しきれない変動要因への対応力も引き続き課題だ。AIと人間の判断を組み合わせたハイブリッド運用や、予測精度をリアルタイムで検証・修正する仕組みづくりが、今後の食品ロス削減の鍵を握るとみられる。データドリブンな発注管理は、単なるコスト削減施策ではなく、サステナビリティ経営の一環として、小売業の競争力を左右する要素になりつつある。