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2026年7月3日

食品ロスAI、全国標準へ加速する2026年

#食品ロス削減#需要予測AI#リテールDX

実証実験から全国本稼働へ、フェーズが変わった2026年

食品ロス削減を目的としたAI需要予測の活用が、単発の実証実験段階から全国規模の本稼働へと確実に移行している。日本全体で年間約464万トンにのぼる食品ロスのうち、約半数は外食・小売などの事業系由来とされ、農林水産省は事業系食品ロスを2030年度までに2000年度比60%削減するという目標を掲げている。この国家目標を背景に、リテール各社のAI活用は「試すフェーズ」から「使いこなすフェーズ」へと確実にシフトしている。

象徴的なのがローソンの取り組みだ。全国約1万4000店舗でセミオート発注システムを展開し、販売実績データに基づく精緻な需要予測により、発注業務にかかる時間を44分短縮、1店舗当たりの廃棄高を前年比で1割削減することに成功している。これほど大規模なチェーンで具体的な数値成果が公表された事例は珍しく、業界内外から注目を集めている。

セブン-イレブン・ジャパンでも、約2800品目を対象とした時間帯別の需要予測AIが稼働中だ。POSデータに加え、天気予報、イベント情報、SNSトレンドといった多様なデータを機械学習モデルで分析し、気温や天候によって需要が変動しやすいお弁当や冷やし中華などを高精度に予測。各店舗の端末には最適な発注推奨数が自動で提示され、食品ロス削減と販売機会の最大化を同時に実現している。

スーパー業界も「予測が難しい」生鮮領域へ挑戦

コンビニ業界に続き、スーパーマーケット業界でも生鮮食品という難易度の高い領域へのAI活用が広がっている。熊本を地盤に28店舗を展開するロッキーは、精肉部門を対象に需要予測とダイナミックプライシングを組み合わせた取り組みを進めてきた。需要予測に基づく仕入れ調整と、POSデータを活用した販売価格の動的調整という2つのアプローチを検証し、食品ロスの削減と利益率向上の両立を目指している。

精肉や鮮魚などの生鮮食品は、天候・気温・曜日・地域イベントなど多変量の要因が絡み合い、従来は店舗担当者の「勘と経験」に大きく依存してきた領域だ。ロッキーの事例が示すように、こうした難易度の高いカテゴリーへのAI応用が進むことで、業界全体の標準化が一段と進むと見られる。実際、スーパーマーケット業界のAI活用事例をまとめたレポートでも、需要予測による食品ロス削減はレジなし決済や顧客動線分析と並ぶ主要トピックとして扱われており、大手から中小事業者まで幅広い層での導入が確認されている。

市場規模42.8%成長、AIは業界標準インフラへ

食品・飲料分野のAI市場は現在193億8000万米ドル規模に達し、前年比42.8%という高い成長率を記録している。この急拡大の背景には、各社の食品廃棄削減イニシアチブと、AIによるサプライチェーン最適化への投資拡大がある。発注業務の標準化は、店舗ごとの属人的なばらつきを減らし、安定した運営を実現する効果も期待されている。

小売・流通業界向けにID-POSデータ分析とAIソリューションを提供するマギーでも、PowerIDやi-codeを通じて蓄積される購買データを需要予測に活用する動きに注目している。天候やイベントといった外部要因と店舗ごとの実売データを掛け合わせる手法は、今後さらに精度を高めながら業界全体に浸透していくと考えられる。食品ロス削減は、もはや一部の先進企業だけの取り組みではなく、リテール業界全体が向き合うべき経営課題として定着しつつある。