リテールメディア市場、2桁成長が定着
2026年のリテール業界では、ID-POSデータや会員データを軸にした「リテールメディア」市場の拡大が続いている。業界予測によれば、2026年のリテールメディア市場は前年比12.3%の成長が見込まれ、2027年も11.4%の成長が続く見通しだ。この背景には、ID-POS、会員アプリ、EC、店頭データを統合し、顧客理解と販促・CRMの精度を高めたいという小売事業者側の強いニーズがある。
単なる広告枠としてのリテールメディアから、購買データを起点にした顧客体験設計へと関心の重心が移りつつあるのが2026年の特徴だ。こうした流れを受け、業界横断で購買データ活用を議論するカンファレンスも年内に開催予定で、データドリブンなマーケティングへの関心の高さがうかがえる。
大手広告代理店グループがCXM統合会社を発足
業界再編の動きも顕著だ。大手広告代理店グループは今年、複数のプロモーション関連会社を統合し、CXM(Customer Experience Management)を軸とした新会社を発足させた。購買データを起点にリアル店舗とデジタル接点の両面から顧客体験を設計し、ビジネス成果に直結させる狙いがあるという。
この動きは、単発のキャンペーン施策ではなく、購買データを継続的に分析し、顧客との関係性を長期的に構築していくという業界全体のトレンドを象徴している。小売・メーカー各社にとって、購買データはもはや「販促の材料」ではなく「経営判断の基盤」として位置づけられつつある。
AI時代の購買行動、変化のスピードがさらに加速
大手コンサルティングファームが実施した生活者の購買行動に関する調査でも、テクノロジーの発展によって購買行動の変化スピードが一層速まっている実態が明らかになっている。日常の購買行動そのものに加え、生成AIの活用や新たな決済・購買チャネルへの関心度も、調査の重要な観点として扱われている。
また、電子マネー基盤を持つ企業が提供する「IDレシートデータ」も引き続き注目されている。約3万人規模の生活者から日々集まるレシートデータを200チェーン・325万商品規模で分析し、コンビニ等の購買実態を可視化する取り組みは継続的に更新されており、実購買データに基づく消費者理解の重要性を裏付けている。
データ統合がもたらす次の一手
こうした潮流に共通するのは、「点在するデータをいかに統合し、顧客一人ひとりの購買行動を精緻に把握するか」という課題意識だ。ID-POSデータを軸に会員情報や行動データを統合し、AIによる分析を組み合わせることで、従来は見えなかった購買の文脈やタイミングを捉える動きが加速している。
マギーが提供するPAL、PowerID、i-codeといったソリューションも、こうしたID-POSデータとAI技術を組み合わせた顧客理解の高度化という業界全体の方向性と軌を一にするものだ。2026年後半に向けて、購買データを起点とした顧客体験設計の巧拙が、小売・メーカー各社の競争力を左右する重要な要素になっていくと見られる。