← ニュース一覧に戻る

2026年8月24日

2026年、CRMは「個客」起点へ進化する

#CRM#ロイヤルティプログラム#ID-POS#パーソナライゼーション#リテールDX

ポイント至上主義からエンゲージメント重視へ

2026年現在、小売業界のロイヤルティプログラムは大きな転換点を迎えています。これまで主流だった「購買金額に応じてポイントを付与する」単純な仕組みは、多くの企業で見直しが進んでいます。背景にあるのは、ポイント還元だけでは顧客のブランドロイヤルティを十分に高められないという課題です。

実際、複数の小売企業が公表しているデータを見ると、ポイント会員数は増加している一方で、実際に継続的に来店・購買する「アクティブ会員」の比率は伸び悩む傾向が指摘されています。この結果、業界全体で会員の「量」から「質」へと評価軸が移りつつあり、購買頻度・購買金額・カテゴリ横断購買などを組み合わせたスコアリングによって、優良顧客を可視化する取り組みが広がっています。

こうした動きの中で注目されているのが、購買履歴と会員属性を紐づけたID-POSデータの活用です。単品管理レベルの購買データと会員IDを組み合わせることで、「誰が」「何を」「どのくらいの頻度で」購入しているかを詳細に把握でき、画一的なクーポン配布から、個々の購買パターンに応じたパーソナルプロモーションへの移行が加速しています。

AIによるリアルタイム・パーソナライゼーション

2026年のもう一つの大きな潮流は、生成AIやレコメンデーションエンジンを活用したリアルタイム性の高いプロモーション設計です。従来は月次・週次で作成していたセグメント別クーポンやDMが、購買データの更新に応じてほぼリアルタイムで最適化される事例が増えています。

例えば、ある食品スーパーでは、来店直後にアプリ上で当日の特売情報と個人の嗜好に合わせたレコメンドを表示する仕組みを導入し、クーポン利用率が従来の一律配信と比較して大幅に改善したと報告されています。また、ドラッグストア業態でも、季節性の高い商品(花粉症対策商品や日焼け止めなど)について、過去の購買時期データをもとに最適なタイミングでプッシュ通知を送る施策が定着しつつあります。

こうしたパーソナライゼーションを支えるのが、購買データを名寄せ・統合し、顧客一人ひとりの購買行動を継続的に追跡する基盤技術です。ID-POSデータをベースにした顧客分析ツールやAIエンジンは、単なる過去実績の可視化にとどまらず、次に何を購入する可能性が高いかを予測するモデルへと進化しています。マギーが提供するPAL(購買データ分析基盤)やPowerID(顧客ID統合ソリューション)、購買予測を担うAmeba DNA AIなども、こうした「個客単位のリアルタイム分析」というトレンドと軌を一にする技術領域です。

小売とメーカーの連携が生む新たな価値

ロイヤルティプログラムの高度化は、小売企業単独の取り組みにとどまりません。2026年時点では、小売が保有するID-POSデータをメーカー側のマーケティング活動に活用する「リテールメディア」的な連携も一段と進んでいます。メーカーが自社商品の購買者属性や併売傾向をデータとして把握し、店頭施策やデジタル広告の精緻化に役立てる動きは、今後さらに拡大すると見られています。

個人情報保護への配慮を前提としながら、匿名化・統計化されたID-POSデータをどこまで活用できるかは、業界全体で継続的な議論のテーマとなっています。i-codeのような商品コード・カテゴリ体系の標準化技術は、こうしたデータ連携の精度を高める基盤としても重要性を増しており、小売・メーカー双方にとって「共通言語」としてのデータ整備が今後の競争力を左右する要素になりそうです。

2026年のCRM・ロイヤルティプログラムは、単なる囲い込み施策から、顧客一人ひとりの購買体験を最適化する「個客マーケティング」の実践フェーズへと確実にシフトしています。