値上げ疲れと「価格の見え方」競争が本格化
2026年に入り、食品・日用品の値上げは一巡感が出てきたものの、消費者の節約志向はむしろ強まっている。スーパーやドラッグストアの現場では「実質値上げ」への感度が高まり、内容量やグラム単価まで比較する購買行動が定着した。こうした中、各社は単純な安売り競争ではなく、「誰に・いつ・何を訴求するか」という精緻なアプローチにシフトしている。
特にドラッグストアではPB(プライベートブランド)比率の引き上げが加速しており、大手チェーンでは食品・日用品カテゴリでPB構成比が3割を超える店舗も珍しくなくなった。一方でコンビニ各社は、値ごろ感を出しつつ利益率を維持するため、100円台の低価格帯商品と高付加価値のプレミアム商品という「二極化ライン」を強化している。
省人化とセルフレジの次のフェーズへ
人手不足は依然として業界共通の課題だが、2026年時点でのトレンドは単なるセルフレジ導入から「無人化オペレーション全体の設計」へと移っている。GMS(総合スーパー)では、バックヤードの発注業務や棚割り作業までAIが提案する仕組みを導入する企業が増え、店舗スタッフは接客や陳列調整といった付加価値の高い業務に集中する体制が広がっている。
またコンビニ業界では、深夜帯の省人営業や時短営業の見直しが再び議論の的になっている。単に営業時間を削るのではなく、時間帯別の来店データを分析し、需要が薄い時間帯にオペレーションを最適化する動きが主流になりつつある。
ID-POSデータ活用が「勝ち組」と「その他」を分ける
今、リテール各社の明暗を分けているのは、POSデータをどこまで顧客理解に落とし込めるかという点だ。単品の売れ筋・死に筋管理にとどまらず、「誰が買っているか」「どの併買パターンがあるか」といったID-POSレベルの分析ができる企業ほど、限られた棚スペースや販促予算を効果的に配分できている。
例えばスーパー業界では、特定セグメントの顧客だけに響く販促を仕掛けることで、チラシ配布コストを抑えながら来店頻度を維持する事例が増えている。ドラッグストアでも、健康食品や化粧品カテゴリでの購買者属性分析が、棚割り最適化や欠品削減に直結するケースが目立つ。
こうした潮流の中で、マギーが提供するPALやPowerID、i-codeといったID-POS分析ソリューションへの関心も高まっている。これらは購買データと顧客属性を掛け合わせることで、単なる「売れ行き分析」を超えた顧客理解を支援する仕組みであり、AmebaDNA AIによる需要予測との組み合わせにより、発注精度や販促効果の可視化にもつながる。値上げ環境が続く2026年だからこそ、勘や経験だけに頼らないデータドリブンな意思決定が、リテール各社の収益力を左右する重要な要素になっている。
今後も、価格競争と省人化、そしてデータ活用という3つの軸が絡み合いながら、業界の再編は続いていくとみられる。単独の施策ではなく、これらを統合的に設計できる企業が、次の成長フェーズをリードしていくだろう。