6,000万人規模のID-POSデータが描く消費者像
流通経済研究所が公開した「消費者購買行動年鑑2026」は、全国合計6,000万人規模のID-POSデータを集計したデータ集として、業界内で注目を集めています。スーパーマーケット編(会員数約382万人)とドラッグストア編(会員数約622万人)に分かれ、カテゴリー別に最新の消費者購買行動を多角的に捉えられる点が特徴です。
こうした大規模データが継続的に整備されることで、単発のキャンペーン効果測定にとどまらず、業態横断での購買トレンド比較が可能になりつつあります。実際、デロイト トーマツが2026年4月下旬に実施した「国内消費者意識・購買行動調査」でも、こうしたデータ基盤の重要性を裏付ける結果が出ています。同調査では「節約と贅沢のメリハリをつけるようになった」という回答が最も高く、消費者の間で“メリハリ消費”が完全に定着していることが確認されました。一方で「自分へのご褒美消費が増えた」という回答も前年からわずかに上昇しており、節約志向と自己投資的な支出が併存する複雑な消費行動が浮き彫りになっています。
このような二極化した消費心理を捉えるには、購買履歴を個人単位で追跡できるID-POSデータの価値がますます高まっていると言えるでしょう。
リテールメディアとデータ連携が競争軸に
矢野経済研究所が2026年2月に発刊した「流通小売市場白書」では、食品スーパーからECまで32市場を対象とした分析の中で、「顧客データの活用」「リテールメディアの展開」「地域連携」が主要テーマとして挙げられています。特にリテールメディア、すなわち小売業者が自社の顧客データや販売チャネルを活用した広告媒体としての展開は、今後の収益源として各社が注力する分野になりつつあります。
この流れを後押しするように、リテールAI協会は2026年6月25日、複数企業の購買データを横断的に統合・分析し、8つの顧客クラスターを特定したと発表しました。単一企業内のデータ分析にとどまらず、業界内でのデータ連携によって顧客理解を高度化する動きが本格化していることを示す事例です。
また、テクノロジー面では富士通が2026年3月のリテールテックJAPANで「Uvance for Retail」を発表し、意思決定を支援するマルチAIエージェント「Watomo」や、店舗の生産性向上に寄与する「Store Operations Cockpit」を紹介しました。AIエージェントが経営判断の一部を担う時代が、現実味を帯びてきています。
ドラッグストアで進む「標準機能化」
業界動向レポートによれば、ドラッグストア業界では電子棚札(ESL)やセルフレジ、AIを活用した需要予測・在庫最適化が、もはや先進的な取り組みではなく「標準機能」として定着しつつあります。これは単なる省人化を超え、購買データをリアルタイムで店舗運営に反映させる基盤が業界全体で整いつつあることを意味します。
こうした環境下では、店頭での購買行動データと会員IDを連携させ、来店から購買までの導線を可視化する仕組みが一層重要になります。マギーが提供するPowerID(会員データ基盤)やPAL(購買分析ソリューション)、i-code(ID-POS分析)は、こうしたデータ連携・可視化のニーズに応える技術として、今後さらに存在感を増していくと考えられます。
2026年の消費者行動分析は、単一企業のデータ活用から業界横断のデータ連携、そしてAIによる意思決定支援へと、着実にフェーズを進めています。今後もこの動向を注視していきたいところです。