← ニュース一覧に戻る

2026年9月9日

小売業界地図が激変、GMS撤退とDgS統合加速

#リテール業界動向#GMS#ドラッグストア#コンビニ#業界再編

GMS業界、「脱総合スーパー」の動きが本格化

2026年、総合スーパー(GMS)業界は業態そのものの見直しを迫られている。大手セブン&アイ・ホールディングスは、イトーヨーカ堂を含む非中核29社を束ねるヨーク・ホールディングスを投資ファンドへ売却し、総合スーパー事業から実質的に撤退した。これにより同社は祖業であったGMS事業からコンビニ・食品スーパー中心の事業構造へと大きく舵を切ったことになる。

ユニーは「MEGAドン・キホーテUNY」への業態転換を進め、ダイエーはイオンの完全子会社として都市型食品スーパーへの転換を加速している。イオン自身も2026年度の重点戦略として、グループのインフラを活用したデリカ供給と生産性の高いオペレーションによる収益改善を掲げ、日販75万円という具体的な目標を打ち出した。前年度実績の71万7000円からの上積みを狙う数値目標であり、生鮮・惣菜の強化が業界共通のテーマとなっている中、各社の業態転換の進捗度合いによって収益格差が拡大しているのが現状だ。GMS各社の直近決算では利益面での明暗がくっきりと分かれており、単なる看板の掛け替えではなく、実質的なオペレーション改革を伴う企業が生き残る構図が鮮明になっている。

ドラッグストア統合、裏側のインフラ統一が佳境に

ドラッグストア業界では、イオン主導によるウエルシアホールディングスとツルハホールディングスの経営統合プロセスが佳境を迎えている。両社を合わせた売上規模は2兆円を超える見通しで、業界内での存在感は圧倒的だ。ただし2026年内は店舗名の統一よりも、物流・基幹システム・プライベートブランドといった「裏側」の共通化が優先される見通しであり、店頭での変化を消費者が実感するのはもう少し先になりそうだ。新生ツルハHDは約5600店舗、薬剤師・登録販売者計5万人という体制を生かし、高齢者に限らず全世代を対象とした健康拠点としての役割強化を打ち出している。

ドラッグストア業界全体では売上高が10兆円を安定的に突破し、2030年目標である13兆円に向けた成長軌道を描いている。また国内市場の飽和を見据え、マツモトキヨシホールディングスがタイ・台湾・ベトナムなど東南アジア圏への出店を加速させる方針も明らかになっており、国内大手の海外展開は今後の注目トレンドの一つとなっている。

コンビニは出店競争から収益力競争へ

コンビニ業界では、セブン-イレブンが21,760店舗(2026年1月時点)で引き続き圧倒的な首位を維持しているが、出店ペースそのものは各社とも緩やかになっている。前年同期比ではセブン-イレブンが226店舗増、ファミリーマートが100店舗増、ローソンが36店舗増と、いずれも微増にとどまり、店舗網拡大から収益力強化へと競争の軸が移っていることがうかがえる。

直近の決算特集ではファミリーマートとローソンの好調ぶりが際立っており、既存店の商品力・オペレーション改善が業績を左右する構図が定着しつつある。一方セブン-イレブンは「3年で売上倍増」を掲げてスイーツ分野への投資を強化するなど、差別化戦略を鮮明にしている。

データドリブンな売場づくりが競争軸に

生鮮・惣菜強化、業態転換、統合効率化——各社が取り組むテーマに共通するのは、限られた店舗・商圏の中でいかに収益性を高めるかという課題だ。ID-POSデータや来店客の購買行動分析を活用し、品揃えや棚割りを精緻化する動きは、GMS・ドラッグストア・コンビニを問わず今後さらに重要性を増していくと見られる。系列再編や業態転換が進む中で、データに基づく意思決定の巧拙が、業界地図を塗り替える次の変数になりそうだ。