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2026年9月13日

食品ロス削減、AI需要予測が小売の標準装備に

#食品ロス削減#需要予測AI#ID-POS活用#小売DX

小売現場で進む「勘」から「データ」への転換

食品ロス問題は長年、小売業界の重要課題であり続けてきたが、2026年に入り、その解決アプローチは大きな転換点を迎えている。従来、発注業務はベテラン担当者の経験と勘に依存する部分が大きかった。しかし人手不足が慢性化するなかで、経験の浅いスタッフでも精度の高い発注判断ができる仕組みへのニーズが急速に高まっている。

国内で発生する食品ロスは年間およそ500万トン規模とされ、その多くが売れ残りや廃棄による事業系ロスに起因する。こうした背景から、現在多くのスーパーマーケットやコンビニチェーンでは、天候・曜日・地域イベント・過去の販売実績といった多変量データをAIに学習させ、店舗単位・時間帯単位での需要予測を行う取り組みが standard(標準)になりつつある。単純な移動平均や前年対比ではなく、機械学習モデルが季節性や突発的な需要変動を捉えることで、発注精度は着実に向上している。

ID-POSデータ活用がもたらす精度の飛躍

需要予測AIの精度を左右する最大の要因は、入力データの質と粒度である。近年注目されているのが、会員IDと紐づいたID-POSデータの活用だ。単なる商品単位の販売数量だけでなく、「誰が」「いつ」「何と一緒に」購入したかという情報を組み合わせることで、天候要因だけでは説明できない需要変動まで捉えられるようになってきている。

実際、ID-POSデータを活用した需要予測を導入した小売企業では、生鮮食品や日配品といった賞味期限の短いカテゴリで廃棄率が二桁パーセント規模で改善したという報告も見られる。あわせて、AIが算出した最適な値引きタイミングを店舗スタッフにアラート通知する仕組みも普及しつつあり、経験則に頼っていた「いつ値下げシールを貼るか」という判断が、データドリブンな意思決定へと置き換わっている。

こうした潮流のなかで、マギー株式会社が提供するID-POS分析基盤「PAL」や共通ポイント基盤「PowerID」も、こうしたデータ統合・活用の受け皿として位置づけられる。個社にとどまらないID-POSデータの共通化・大規模化は、単店舗のデータだけでは見えにくい需要トレンドを可視化する上で有効な手段の一つとなっている。

現場定着のカギは「説明可能性」

AI需要予測の導入自体は珍しくなくなった一方で、現場への定着には課題も残る。特に指摘されるのが、AIが出した予測値の「理由」が現場担当者に伝わりにくいという点だ。予測が外れた際に「なぜこの数値になったのか」を説明できないシステムは、現場の信頼を得にくく、結果として活用が形骸化してしまうケースも少なくない。

このため、単に予測数値を提示するだけでなく、天候要因・イベント要因・過去トレンドといった予測根拠を可視化する機能が重視されるようになっている。マギーのi-codeのような商品識別・分析技術も、カテゴリ横断での需要変動要因を分解して示すうえで一つの選択肢となり得る。

食品ロス削減は、単一の技術導入で解決する問題ではない。需要予測AIの精度向上、ID-POSデータの拡充、そして現場が納得して使える説明可能性の確保――この三つが揃って初めて、廃棄削減という成果につながる。2026年の小売業界は、まさにこの三要素の統合フェーズに入りつつあると言えるだろう。