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2026年10月29日

個客時代のCRM、2026年リテール最前線

#CRM#リテールメディア#ロイヤルティプログラム#パーソナライゼーション#ID-POS

セグメント配信から個客対応へ、CRMの重心が移動

2026年、小売業のCRM戦略は大きな転換点を迎えている。これまで主流だった属性別・セグメント別のクーポン配布は後退し、購買履歴に基づく完全個客対応型のプロモーションへと軸足が移りつつある。業界団体の調査によれば、国内の大手食品スーパーおよびドラッグストアの約7割が、直近1年以内に個客単位のプロモーション施策を新規導入または拡充したと回答している。

特に注目されているのが、来店頻度や購買周期から「離反予兆」を検知し、離反が起きる前に最適なオファーを届ける仕組みだ。単発の割引施策と比較して、購買継続率で1.5倍以上の差が出たとする事例も報告されており、ID-POSデータを活用した予兆検知型のアプローチが、今後のCRM施策の標準になりつつあると言える。こうした個客対応の高度化には、購買データとID情報を統合して顧客行動を可視化する基盤が欠かせず、PowerIDやi-codeのようなID-POS解析の仕組みが果たす役割はますます大きくなっている。

リテールメディア805億円市場、AI活用が業界標準に

リテールメディア市場は805億円規模へと拡大し、AI・データ活用による高度なパーソナライゼーションが業界標準となりつつある。ドラッグストアでは調剤併設率が80%に達し、コンビニ各社はアプリをスーパーアプリ化させるなど、店舗・アプリ・会員データを横断した顧客理解が急速に進んでいる。

この流れは国内に限らない。米国の業界イベントNRF 2026のレポートでは、リテールメディアがもはや単なる「広告商品」ではなく経営の論点として語られ、店舗・会員・データ・運用を束ねて「顧客の注意を収益化する」事業へと進化していると整理されている。日本企業への示唆として、店舗・EC・アプリ・会員・決済をまたいで影響を計測できる仕組みを整えることの重要性が指摘されており、PALのようなパーソナルプロモーション基盤が、こうした横断的な顧客理解を支えるツールとして位置づけられつつある。

また、2026年10月28〜29日に東京・恵比寿で開催される業界カンファレンス「リテールアジェンダ2026(RA26)」には、小売・メーカー・パートナー合計200名規模が参集し、セブン‐イレブンやイオンリテール、平和堂などが「リテールメディアとCRMの最前線」をテーマに登壇予定だ。自社アプリを単なる販促ツールで終わらせず、オンラインとオフラインの行動データを統合した顧客理解の基盤へと進化させる議論が中心になるとみられる。

ポイントから体験へ、ロイヤルティプログラムの再定義

ロイヤルティプログラムのあり方にも変化が見られる。これまではポイント還元率の高さが顧客維持の主軸だったが、現在は体験価値そのものを重視する方向へのシフトが進んでいる。単なる値引きの提供から、顧客一人ひとりに合った提案や特別な体験を届けることへと、ロイヤルティの定義そのものが問い直されている。

決済・連携分野でも動きは活発だ。楽天とYouTubeショッピングのアフィリエイトプログラム連携は2026年2月より正式に開始され、クリエイターエコノミーを活用した新たな顧客接点として注目を集めている。また三井住友カードの「Vポイントアッププログラム」では2026年11月より「餃子の王将」が対象店舗に新たに追加される予定で、決済とポイント経済圏の統合もさらに進む見込みだ。

こうした一連の動きが示すのは、CRM・リテールメディア・ロイヤルティプログラムという三つの領域が、もはや別々の施策ではなく、顧客データを軸に一体化しつつあるという事実である。ID-POSデータとAIを組み合わせた個客理解の精度が、今後の競争力を左右する時代が本格的に到来していると言えるだろう。