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2026年9月21日

業態を超えた大再編、リテール競争の軸が激変

#リテール業界動向#ドラッグストア再編#GMS再活性化#リテールメディア

ドラッグストア巨大再編とGMS再活性化の兆し

2026年のリテール業界を象徴するのが、ドラッグストア業界における巨大再編だ。業界2位のツルハホールディングスと最大手のウエルシアホールディングスが経営統合を完了し、新生ツルハHDは店舗数約5,600店、薬剤師・登録販売者を合計5万人抱える巨大グループとなった。イオンは2026年度の重点取り組みとして、この人材と店舗網を活かし「高齢者のみならず全世代の健康拠点」としての機能強化と、ドラッグ&フード型店舗の拡大方針を4月に発表している。ドラッグストア市場全体はすでに10兆円を突破しており、業界再編はさらなる規模拡大局面に入ったといえる。

注目すべきは、ドラッグストア各社が食品領域への進出を加速させている点だ。クスリのアオキホールディングスは食品スーパーへのM&Aを活発化させ、直近四半期の売上高は前年同期比13.7%増の4,228億円に達した。商圏内シェアの最大化を狙う動きは、業態の垣根を越えた競争構造への転換を印象づけている。

一方、長らく苦戦が続いていたGMS(総合スーパー)にも再活性化の兆しが見え始めた。イオンが5月に発表した2030年度までの新中期経営計画では、営業収益15兆円・営業利益5,300億円という高い目標が掲げられ、GMS事業の再活性化が明確な柱の一つとされた。実際、イオンリテールのGMS事業は直近四半期で営業収益が3.6%増収となり、営業損失も前年同期から80億円超改善している。価格戦略の徹底やPB「トップバリュベストプライス」の拡販、人時生産性の向上が奏功した格好だ。イトーヨーカ堂も6年ぶりの最終黒字を計上するなど、GMS各社の構造改革は着実に成果を出しつつある。

コンビニ大手の明暗とリテールメディアの急拡大

コンビニ業界では大手3社の業績に明暗が分かれた。直近の連結決算では、ローソンとファミリーマートが増量・割引キャンペーンなどの施策を奏功させ、事業利益にあたる営業利益が過去最高を更新した。一方、業界最大手のセブン-イレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスは既存店の客足が伸び悩み、小幅増益にとどまっている。セブン&アイはイトーヨーカ堂・ヨークベニマルが連結対象から外れたことを受け、「コンビニ専業」体制への構造改革を進めており、国内コンビニ事業は増収減益という結果になった。ローソンは新たにミニスーパー業態の出店方針を打ち出すなど、各社の戦略の違いが業績にも表れ始めている。コンビニ全体の店舗数は大手3社で5万1,702店に達し、業界全体の9割以上を占める寡占構造がさらに強まっている。

こうした店舗網を背景に急拡大しているのがリテールメディア市場だ。国内市場規模はすでに5,000億円規模に達し、今年は6,000億円超が見込まれている。特に実店舗のデジタルサイネージを活用したインストア広告の伸びが顕著で、市場全体の約3割を占めるまでに成長した。購買データと連動した広告配信が、小売業の新たな収益源として存在感を増している。

店舗数競争から「生産性」と「顧客生涯価値」への転換

こうした一連の動きを俯瞰すると、業界の競争軸そのものが変化していることが見えてくる。ドラッグストア大手同士の経営統合や資本業務提携が相次ぎ、店舗網の再編や仕入れの共同化によるスケールメリット追求が進む一方で、各社が重視する指標は「店舗数の拡大」から「一店舗あたりの生産性」「顧客一人あたりの生涯価値(LTV)」へと明確にシフトしている。

この転換を支えるのが、ID-POSデータやAIを活用した精緻な顧客分析だ。どの商品をどの顧客層に、どのタイミングで提案すべきかを可視化する仕組みは、限られた店舗網の中で収益性を最大化するうえで不可欠になりつつある。実際、業界再編が進む今こそ、データドリブンな売場づくりや販促最適化への投資が加速しており、リテール業界全体が「規模」と「質」の両立を模索するフェーズに入ったといえるだろう。