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2026年10月23日

CRM個客化元年、ロイヤルティは体験へ進化

#CRM#ロイヤルティプログラム#リテールメディア#パーソナライゼーション

「マス」から「個客」へ—CRM戦略の完全シフト

2026年、国内リテール業界のCRM戦略は大きな転換点を迎えている。業界団体の調査によれば、大手食品スーパーおよびドラッグストアの約7割が、直近1年以内に個客単位のプロモーション施策を新規導入または拡充したと回答した。これまで主流だった「全会員一律の割引・特典」から、購買頻度や来店周期といった行動データをもとに一人ひとりに最適化したオファーを届ける手法へと、現場の重心が明確に移っている。

特に注目されているのが「離反予兆検知」の仕組みだ。来店間隔の変化や購買カテゴリの偏りからロイヤル顧客の離脱サインを捉え、離反が起きる前にパーソナライズされたオファーを提示するアプローチである。あるドラッグストアチェーンでは、ポイント付与ロジックを購買頻度連動型に見直した結果、上位20%の顧客層が全体売上の55%を占めるまでに貢献度が高まったという事例も報告されており、少数の優良顧客にいかに向き合うかが収益構造を左右する時代になっている。

ポイントから体験へ—ロイヤルティプログラムの再定義

ロイヤルティプログラムの設計思想にも変化が見られる。これまでは「ポイント還元率の高さ」が顧客維持の最大の訴求軸だったが、現在は「体験価値の設計」へと重心が移りつつある。誕生月限定の特典、購買履歴に基づくレシピ提案、店頭スタッフとの接点を組み合わせたハイブリッド型のプログラムなど、単純な経済的インセンティブを超えた仕掛けが各社で増加している。

実際の動きとしては、良品計画が「無印良品メンバー」向けに実施した「GOOD POINT WEEK」のような期間限定のポイント増量施策に加え、JCBが会員向けポイントサービスを刷新した「J-POINT」のように、カード会員基盤そのものを使いやすく再設計する動きも進んでいる。こうした施策はいずれも、単発のキャンペーンではなく、継続的な関係構築を目的とした体験型のロイヤルティ戦略の一環として位置づけられている点が特徴的だ。

リテールメディア市場9倍成長と業界再編が後押しするデータ活用

こうした個客起点の施策を支える基盤として急拡大しているのが、リテールメディア市場だ。現在の市場規模は805億円に達しており、わずか5年前の90億円から約9倍という驚異的な成長を遂げている。背景には、ドラッグストアの調剤併設率が80%に達したことやコンビニのスーパーアプリ化など、AI・データ活用による高度なパーソナライゼーションが業界標準として定着したことがある。マツキヨココカラカンパニーが展開する「matsukiyo Ads」は、国内3,000店舗超と自社ECのデータを統合した代表的な事例であり、美容・コスメ領域に特化したターゲティング広告として注目を集めている。

業界再編の動きも、データ活用の加速に拍車をかけている。業界最大手のウエルシアホールディングスと2番手のツルハホールディングスが経営統合を前倒しで実現し、営業収益2兆円規模の巨大グループが誕生したほか、クスリのアオキもM&Aを活発化させている。イオンもGMS事業の再活性化に向けた新5カ年計画を発表し、来店客一人ひとりの購買行動を捉えたデータドリブンな売場づくりへの投資を強めている。

各社の規模が拡大するほど、一人ひとりの購買データをいかに精緻に捉え、オファーや売場づくりに還元できるかが競争力の源泉となる。ID-POSデータとAIを組み合わせた需要予測やオファー最適化の基盤は、こうした個客単位のマーケティングを下支えするインフラとして、今後さらに重要性を増していくだろう。